平成30年11月定例議会「請願書」

請願理由(まちづくり推進要綱等の見直しと区民主体のまちづくり支援策の充実を求める請願)

 

 文京区の住環境を守る会(千石4丁目)では、平成30年9月定例議会に「区民主体のまちづくりを初期段階から支援する仕組みに関する請願」(第13号)を提出し、9月21日の建設委員会において審議され「継続」となりました。

 

 その後、区からは、昭和63年7月30日に「文京区まちづくり推進要綱」が決定され、それに関連して昭和63年8月15日に「文京区まちづくり協議会助成金交付要綱」が決定されたほか、平成3年4月12日に「文京区まちづくりコンサルタント派遣要綱」が決定されたとの情報開示を受けました。

 

 しかし、いずれにおいても平成16年6月2日に改正して以降、今日まで14年以上にわたって改正しておりません。また、当会で上記3つの「要綱」を確認し、全国の主な他の自治体の類似の「条例」や「要綱」と比較したところ、他の自治体に広く見られるような、まちづくりの各段階におけるきめ細かな具体的な支援策に欠けるように見受けられました。

 

 NPO法人公共政策研究所の「全国の自治基本条例一覧(更新日:平成30年5月14日)」によれば、平成13年4月1日に北海道ニセコ町で「まちづくり基本条例」が施行されて以降、全国161の自治体で「まちづくり基本条例」並びにまちづくりに関する「基本条例」が施行され、そのうち9割にあたる149の自治体が平成16年6月2日以降にこれらの条例を施行しています。

 

 つまり、文京区において上記3つの「要綱」の最後の改正から今日までの14年余りの間に、全国の自治体では活発に「まちづくり基本条例」等の策定の動きがあり、施行されたことを意味します。

 

 この14年間の文京区を取り巻く状況は、社会・経済構造の変化、少子高齢化、犯罪の凶悪化、想定を遙かに超える自然災害など激変し、解決すべき地域の社会的課題も山積しています。防犯、防災、防疫の各面における区民のニーズも多様化かつ高度化し、それに対処するためのまちづくりの支援策の拡充が重要性を増していると考えます。

 

 簡易宿所建設計画地周辺に住む私たち区民としては、当面、既存の制度・仕組みの枠内で支援して頂くとしても、他の区内地域でもまちづくりの機運が広がり、地区計画への取り組みを円滑に進めるには上記3つの「要綱」の見直しやそれらを補完する新たな「要綱」が必要ではないかと考えています。

 

 上記3つの「要綱」では、そもそも文京区における「まちづくり」の定義が明確にされていませんし、協議会に対する支援策(例えば助成金の規模や「まちづくりコンサルタント」の登録・活用方法のあり方など)を再検討いただく時期に来ていると感じています。つきましては貴議会において、区民の発意に基づく自発的なまちづくりを支援する制度や仕組みを拡充するよう区に働きかけて頂きたく、下記の請願を致します。

 

請願事項

 

1  「区民の知る権利」を尊重する上でも、「要綱」を含めまちづくりに関する制度や仕組みの情報開示を、区のホームページ等を通じて徹底するよう区に働きかけてください。

 

2  区民の自発的な発意に基づくまちづくり支援のため、全国の他の自治体の先行事例を参考にしながら、区と区民による「協働・協治」のまちづくりを深めるよう区に働きかけてください。

 

3  上記3つの「要綱」について、現在の区を取り巻く住環境の変化、経済・社会構造の変化に対応したまちづくりを合理的、効果的、かつ迅速に推進していけるようになっているか、各項目をひとつひとつ点検し、必要に応じて見直すよう区に働きかけてください。

 

平成30年9月定例議会「請願書」

請願理由(区民主体のまちづくりを初期段階から支援する仕組みの充実について) 

 

私たちの住む千石4丁目では、簡易宿所の建設計画(千石4-35-15)が突如持ち上がったものの、事業会社の経営破綻により計画は撤回されました。しかし、当該企業による当初の計画がなくなっただけで、新たな売却先が簡易宿所を建てないとは限りません。私たち地元区民は「別の企業が簡易宿所等を建設するのではないか」という不安の中、「カプセルホテル建設反対」の「のぼり」を立て続けざるを得ない状況を強いられています。

 

文京区には「文京区都市マスタープラン」があり、拠点地区に位置づけられた地区は「まちづくり基本計画」を策定する一方、区にはまちづくりに関連した条例等も個別の目的ごとにありますが、区民が自発的に自分たちの地域の住環境を守るためにまちづくりのルールを決めていこうと思うと、文京区には区民の自発的な取り組みを初期段階からきめ細かく支援する仕組みが充実していません。例えば、私たちは世田谷区の「成城憲章」に倣って「千石憲章」を作り始めましたが、区にはこうした「憲章」の登録制度はなく、「千石憲章」に基づく協定を地元区民が結んでも、区には「区民街づくり協定」のようなものとして区が認定し登録する制度がないため、住民が勝手に作っただけに終わってしまいます。

 

「地区計画」はありますが、実現が難しいのは区の過去の取り組みを見れば明らかですし、文京区に限ったことではないからこそ、全国の自治体では「地区計画」より取り組みやすい独自の支援の仕組み(例えば目黒区の「地域街づくり研究会」への支援、世田谷区の「区民街づくり協定」や「区民街づくり計画」の認定・登録等)を設けているわけです。

 

文京区基本構想では「区民と区が、時代の大きな変化に適応しつつ、可能性に富んだこの地を、新たな洗練と成熟の段階へとさらに発展させていく」としていますが、この10年の区を取り巻く状況は、社会・経済構造の変化、少子高齢化、犯罪の凶悪化、想定を遙かに超える自然災害など激変し、解決すべき地域の社会的課題も山積しています。防犯、防災、防疫の各面における区民のニーズも多様化かつ高度化し、それに対処するためのまちづくりの支援策の充実が重要性を増していると考えます。

 

「協働・協治」の理念に基づくまちづくりは、地元区民の自発的なルールづくりを後押しすることを通じて実現していくことが理想であり、「だれもが住み続けたい」「住みたいと思える」まちをつくるためには地元区民の自発的な申し出を大切にし、その思いと願いを大切に育んでいくまちづくりの支援策が欠かせません。つきましては、貴議会において、区が蓄積している他の自治体のまちづくり支援の具体的な調査・研究成果を区民と共有し、区と区民が手を携えて、区民主体のまちづくりを初期段階から支援する仕組みを拡充していくよう区に働きかけて頂きたく、下記の請願を致します。

 

請願事項

 

1地元区民の自発的な発意に基づくまちづくりを初期段階から支援する仕組みを拡充し、区と区民が手を携えて拡充策を検討していくために、区が蓄積している他の自治体の類似の取り組み事例の調査・研究成果を区民と共有するよう区に働きかけてください。

 

2 地元区民が取り組む自発的な発意に基づくまちづくりの活動を初期段階から支えるため、地元区民で組織する協議会等を支援する制度を設けるよう区に働きかけてください。

 

3 地元区民が策定する「まちづくり憲章」のような名称の地域のまちづくりの基本理念やルールを区が認定し、それを区に登録して区のホームページで公表するような仕組みを設けるよう区に働きかけてください。

 

4 地元区民が自発的に結ぶ「建築協定」等を、区が「『文の京』地区まちづくり協定」のような名称で認定し、区に登録する仕組みを設けるよう区に働きかけてください。